VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

読む、映画『PARKER/パーカー』 「カネの話じゃないんだ」

 この映画の終わりに近い部分に、主人公パーカーの台詞として、“It’s not about money.”という言葉を聞くことが出来る。「カネの話じゃないんだ」というような意味だ。字幕には「たかがカネだ」と出る。カネ以外の話、つまり、カネならたかがでかたづくけれど、そうはいかないものについての話とは、なになのか。裏切りの首謀ないしは中枢にいる男のところに単身乗り込み、その男を前にしてパーカーはこう言う。
 カネの話ではなければ、信義をめぐる話だ。パーカーの場合はそうなる。では信義とは、なにか。パーカーは現金ないしはそれにご…

『キネマ旬報』二〇一三年三月下旬号

このエントリーをはてなブックマークに追加