読む、映画『フリーランサー NY捜査線』 ヒエラルキーのピラミッド
またしても麻薬だ。場所はいまのニューヨークだ。麻薬への需要はいくらでもある。麻薬は売れる。売れればその代金が入ってくる。
売人がストリートで妊婦や子供に麻薬を売る様子を、要領のいい短い描写で見ることが出来る。売人は麻薬を売って小銭を稼ぐ。売人がたくさんいるなら、小銭とは言っても、積もればたいへんな額の現金になる。どういう仕組みなのか僕にはまったくわからないけれど、競馬場の売り上げを利用してマネー・ローンダリングするほどの額の現金になる。
ニューヨークでこうして塵も積もって毎日のように山となるこの現金が、ピ…
『キネマ旬報』二〇一三年一月下旬号