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評論・エッセイ

読む、映画『スリープレス・ナイト』 悪事というものの本質はいくら時代をへてもおなじである

 さまざまな悪人たちが、それぞれに好計をめぐらせては、いろんな悪事を働く。その動機はほとんどの場合、一攫千金だ。働かれた悪事を警察が捜査する。捜査の現場で担当の刑事が体を張る。捜査すればするほど、悪事の核心に迫っていく。迫りきったとき、悪事の全貌は明らかとなり、首謀者たち悪人は逮捕される。基本的にはこのとおりだが、そうもいかないんだよ、ということにすると、この映画のような作品が成立することになる。
 この連載のために僕が観た映画では、悪人たちの悪事に警察が、なんらかのかたちで密接に関係していた。この作品でもそうだ。悪人たち…

『キネマ旬報』二〇一二年十月下旬号

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