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評論・エッセイ

読む、映画『虚空の鎮魂歌』 普遍性を感じる締めくくりかた

 犯罪を犯して生きる悪人たちがいる。その悪人たちをなんとか退治する仕事で生きていく警察の刑事たち、つまり現場での捜査官たちがいる。このふたとおりの人たちさえいれば、面白い映画はたちまち作れる。
 悪人たちの生きかたである犯罪は、この映画では、セルビアでNATO軍から盗み出す銃や爆薬などだ。セルビアから野菜や果物を運んで来たトラックを税関で止め、荷物をすべて降ろして綿密に検査してみると、トラックの荷台に軍用のガン・オイルが付着している事実があらわれる。コロンビア産とわかるコケインも、微量だが検出される。軍隊から盗んだ武器、そ…

『キネマ旬報』二〇一二年十一月下旬号

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