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評論・エッセイ

読む、映画『ゴッド・ブレス・アメリカ』 映画ならでは、の良さ

 一九九三年にマイケル・ダグラスが主演した『フォーリング・ダウン』を僕は思い出した。俳優たちの演技が素晴らしかったし、映画としてよく出来てはいたけれど、結末に向けて主題が高まり、その頂点で観客がなんらかの感銘を受けて心に満足感を覚えるという、いい映画ではなく、映画ならでは、という種類の作品だった。
『ゴッド・ブレス・アメリカ』もおなじ領域のもので、映画ならでは、という楽しみかたをすれば、それで充分のようだ。主人公のふたりが銃を射ち始めてからのある夜、中年男性フランクが見る夢の場面に、いいのがある。自分たちふたりが人気者にな…

『キネマ旬報』二〇一二年八月下旬号

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