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評論・エッセイ

読む、映画『ハングリー・ラビット』 現実のなかで正義はいかに実行されるか

 法の裁きを逃れた犯罪者たちに正義の名のもとに制裁を加える秘密組織がニューオルリンズ市にある、という設定の上にこの映画の物語ぜんたいが支えられている。制裁とは、俺たちが代わりにぶっ殺してやるよ、ということだ。
 高校で国語を教えている男の、チェロ奏者の美しい妻が、ある夜、性犯罪者から暴行を受けて病院へ搬送される。秘密組織の男が接触してきて、よかったら俺たちがそいつを殺してやるよ、と提案する。国語教師はその提案を受ける。
 さまざまな性犯罪の常習犯であった暴行犯は、秘密組織によって本当に殺される。証拠写真と証拠物…

『キネマ旬報』二〇一二年七月下旬号

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