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評論・エッセイ

サービスはまだ生きている

 サービス、という言葉が日本語になってから、ずいぶん時間が経過した。サーヴィス、と書く人もいるが、サービス、でいい。なにしろそれは日本語なのだから。もとは英語の単語であるserviceが日本語になったのは、戦後すぐのことだろう。どんな必要があって、この言葉が、無料のとかおまけの、といった意味の日本語になったのか。
 Serviceを英和辞典で調べると、次のような意味がならんでいる。勤め。勤務。軍務。礼拝。典礼。便宜。奉仕。世話。修理点検。給仕。公共施設の運営。食器の一式。テニスのようなサーブ権のある競技のサービス。無料のと…

初出:『サンデー毎日』二〇二〇年十月十八日号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」69「英語の意味を失って日本語化した」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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