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評論・エッセイ

流れる川の水にすべてを託す

 青竹珊瑚、という言葉を知っている人は、そもそもごく少数だったのではないか。
 かつての日本でたいそう人気のあったハワイアン曲から、題名のなかにある漢字を組み合わせたものだ。青は『ブルー・ハワイ』の青だ。竹は『小さな竹の橋で』だ。そして珊瑚は『珊瑚礁の彼方に』だ。
 一九五〇年代に入ってから一九六〇年代のなかばを過ぎるまで、日本にはハワイアン・バンドがたくさんあり、そのどれもが歌や演奏を、日本各地で盛んに披露していた。ハワイアン音楽がもっとも強く人々から求められた時代に、ハワイアン・バンドを中心にした業界の人た…

初出:『サンデー毎日』二〇二〇年三月二十九日増大号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」42「心情を流れる川に託す」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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