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評論・エッセイ

こういう言葉には頭を抱えるほかない

 人の体のあちこちを引き合いに出した言葉が日本語にはたくさんある。目、口、鼻、耳、胸、手、背中、腹、膝、尻、腰、脛、足など、じつに多彩だ。いちばん頂上にあるのが頭だ。その頭をめぐる言葉を探してみた。探すまでもなく、次々にあらわれた。
 順不同で列挙してみよう。ひとり頭。頭が上がらない。頭を抑える。頭を下げる。頭を出す。頭打ち。頭をはねる。頭数を揃える。頭株。頭から。頭金。頭ごなしに。頭ごしに。頭出し。頭でっかち。頭割り。頭をもたげる。頭に据える。頭をすげかえる。頭に来る。これで二十だ。もっとある。
 頭のなかが…

初出:『サンデー毎日』二〇二〇年三月十五日増大号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」40「頭をめぐる言葉に頭を抱える」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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