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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

彼女を納得させるのは大変だからなあ

 チャールズ・M・シュルツが一九六九年の一年間に描いた『PEANUTS』が、二〇一九年の日めくりカレンダーに転用されていた。僕はそれを机の上に置いていた。四コマの連載は毎日だから、いつでも日めくりに使える。その十二月三十一日の四コマ目、つまりその年の最後のコマは、チャーリー・ブラウンの嘆息で終わっていた。
 吹き出しのなかには入っていなかったから、チャーリー・ブラウンがひとり胸のなかでついた嘆息だ。胸のなかで言っている、という意味の印のなかに、SIGH(嘆息)というひと言が書いてあった。ちなみに吹き出しは英語だとスピーチ・…

初出:『サンデー毎日』二〇二〇年三月八日増大号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」39「言語を超えてわかりあえる状況」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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