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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

街を歩けば謎にあたる

 ドトールの店舗まで自宅から歩いて五分だ。恵まれてますねえ、と感心した人がいた。消費税が増税される以前は、エスプレッソのSが二百二十円だった。百円玉と十円玉がふたつずつだ。相似形で四つ、というのがよかったのだが。
 このドトールにミラノサンドという食べ物がある。かねてよりこれに僕は惹かれてきた。サンドとはサンドイッチを縮めた日本語だが、ドトールではサンドイッチとは言っていない。ミラノサンドだ。
 なぜミラノなのかという謎はここでは追究しない。ミラノサンドにはA、B、Cの三とおりがあり、二〇一九年十月一日からの代…

初出:『サンデー毎日』二〇二〇年二月九日増大号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」35「日本語にする手間を省いた結果」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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