男子と女子に分かれてせいの順に
「いまごろ子供がなぜここにいるんだ。子供は学校へ行くものだ。お前、学校はどうしたんだ」という大人の言葉を久しぶりに思い出した。子供だった頃、僕は何度もこの言葉を受けとめた。
子供は学校へ行く。確かにそのとおりだ。学校へ行ってしまうと、子供はひとりもいないはずなのに、そこに僕だけがいるのは、なぜなのか。まずとにかく、その僕は、たいそう目立ったはずなのに、そのことには気づかなかった。
子供が日本語を学習していくにあたって、学校が果たした役割は大きい。学校あるいはその周辺で覚えた言葉は、学校へ行かなかったら、いま…
初出:『サンデー毎日』二〇一九年十二月十五日号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」28「〝らしさ〟を強制される日々」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年
前の作品へ
次の作品へ