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評論・エッセイ

「最低限の会話能力」とはなになのか

 外国から働きにくる人たちを日本は受け入れている。二〇二五年度には介護の領域だけでも三十四万人の人材が不足するからだ。ある程度以上の日本語能力を求めている日本政府は、外国の人たちの入国要件として、彼らの日本語能力を試験している。どのような試験なのか、そこで日本語能力はどのように試験されているのか、不合格だったらどうなるのかなど、僕はまったく知らない。日本語による最低限の会話能力というものを日本政府が試験していることだけは知っている。
 最低限の会話能力とはどのようなものなのか。仕事で毎日のように顔を合わせる、かなり親しい日…

初出:『サンデー毎日』二〇一九年九月一日号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」13「『最低限の会話』と『言葉の能力』」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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