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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

僕はそこに論理を感じない

 数のついた日本語の言葉や言いかたについて考えてみた。ただし、一目散や一里塚、一両日中、といった一のつく言葉は、いずれこの連載で取り上げる予定なので、ここでは除外した。三のつく言葉も除外した。数がたいそう多いからだ。三のつく言葉についても、やがて書くことにしよう。
 僕が手に入れた範囲では、マイナスに転落する、から始まって、ゼロ歳児やゼロ・スタートなどをへて、百万ドルの夜景へと、広がっていた。僕が子供の頃には、百万ドルの脚線美、というのもあった。ハリウッド女優の美しい脚には保険がかけられていて、それは百万ドルである、という…

初出:『サンデー毎日』二〇一九年七月二十八日号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」9「論理を感じない数字の言葉」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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