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評論・エッセイ

酒にまつわる言葉について

 酒にまつわる言葉について考えてみた。酒の酔いかたに、日本語は興味を持っているようだ。酔いかたとは、ごく端的に言って、「酒ぐせ」のことだ。
 日本人の酒ぐせのなかに、日本社会が凝縮されている。言葉はその様子をすくい取り、映している。酒ぐせは、あるひとつの方向のなかで、多様だ。さらす酔態に不足はない。
 すべては「ほろ酔い」から始まる。「いいこんころもちだ」という言いかたを子供の頃に漫画で知り、いまでも覚えている。その漫画のなかに描かれていた日本の大人は、まさに「ほろ酔い」の人だった。
「ヒック」とい…

初出:『サンデー毎日』二〇一九年七月十四日号(「コトバのおかしみ・コトバのかなしみ」7「『一本、一枚』の潔さを学びたい」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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