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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

カモに手加減する馬鹿はいない

 プロフェッショナルなハスラーたちにとって、プールホール(玉突き屋)は、自分の仕事場でありアジトであり、ときによっては寝ぐらでさえありうる。ハスラーの多くが、いや、ほとんどが、ビリヤードでのハスリング以外にこれといって別種の生活を持たず、いたって無趣味・不調法で、しかもたいていの場合、独身の旅がらすであるという。このようなことを根拠に、『ハスラー・ビート、その他』の著者、ネッド・ポルスキーは、ハスラーは自己充足度のきわめて高い、自分ひとりで自給自足の生活を送っている人間である、と書いている。たしかに、プールホールの内部でポケット・ビリ…

底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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