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評論・エッセイ

ターザンの芸術生活

 どういうきっかけなのか自分にもよくわからない。時たまふと思い出したりしているのだと思うのだが、次第に寒くなってきたことにも、すこしは関係があるのかもしれない。
 とにかく、ふと、思い出したわけなのだ。泳ぐ、ということ、あるいは、実際に自分が気ままに泳ぐ行為が持っている、エロチックで官能的で、楽しくて無責任な、一種の芸術的な世界を思い出したのだ。
 泳ぐ、と簡単に二文字で書けてしまうが、この場合には、普遍的な水泳とか海水浴とかのイメージは、まるであてはまらない。ごく特殊な個人的な記憶のなかに存在している泳ぎだか…

底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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