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評論・エッセイ

ブルースに死んだジャニス・ジョプリン

 たしかに刺激的ではあるけれども、とにかくなんとも不自由きわまりないうたいかただとつくづく思いながら、ターンテーブルからLPをはずすことになる。ジャニス・ジョプリンの五枚のLPを、ふと聞いてみたりしたときには、かならずそうなるのだ。そして、最近では、彼女のLPはもうあまり聞かなくなってしまった。
 ジャニス・ジョプリンの不自由さには、ちょっとした感動みたいなものをおぼえないわけにはいかない。なにがどう不自由かというと、あのほんとうに「観客の目の前で、自分がうたうひとつひとつの歌の首をしめあげるような」うたいかたもさることな…

底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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