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評論・エッセイ

エルヴィス純粋記号論

 エルヴィス・プレスリーの記録映画が、また一本、アメリカで撮影されつつある、と伝え聞いたとき、ぼくは異なったふたつのことを同時に考えた。
 ひとつは、その記録映画は面白くない映画になるだろうな、いや、面白くあるはずがない、という本能的な確信だった。そして、もうひとつは、そのエルヴィス・プレスリーの記録映画にはたとえば『休日のエルヴィス』というようなタイトルがつけられていて、そのタイトルどおり、ステージで歌をうたう以外のエルヴィスがふんだんに撮影されている、休日のエルヴィス・プレスリーの、フィルムによる日録みたいな映画だとし…

底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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