VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ロックンロールの宇宙志向に関するぼく好みのご案内

 ロックンローラーたちの目の前に巨大に立ちはだかっている絶望の色は、ひときわその濃さを増したようだ。絶望の巨大さは、日ごとに徹底されていき、その色は、幸せなことに、あせることはぜったいにありえない。
 自分の力ではどうにも超えることのできない、すさまじくて大きくて圧倒的に現実そのものであるその絶望は、単にロックンローラーたちの眼前で巨大であるだけではなく、手をのばせば誰にでもたやすく触れることの可能な、ごく近いところにいる。絶望の息吹きはロックンローラーたちの顔には常にかかっているし、我が手で触れてみたいものすべてのなかに…

底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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