ごく個人的な文脈で書くカントリー
カントリー・アンド・ウェスタンについて四〇〇字の原稿用紙二〇枚で書かなくてはいけないことになった。なん枚だろうとも、こういうのはたいへんに面倒な仕事なのだ。いっそひどくみじかい記事ならば、アメリカの現場のなかから、カントリー・アンド・ウェスタンが実在する光景をひとつ切りとってきてそれを描写してしまえばできあがりになってしまう。『砂丘』という映画だったろうか、西部のバーでかつてのボクサーがウィスキーびたりになりながら、ジュークボックスの、『テネシー・ワルツ』をなん度もくりかえし聞いているというようなシーンがあったけれども、こういった感…
底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)
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