あるひとつのピーナツバター論
スターになってキャデラックを買うと同時に、エルヴィス・プレスリーは、「あなたの好きな食べものはなにですか?」という質問に、なん度もこたえなければいけないことになった。こたえは、いつもおなじだった。つぶしバナナのサンドイッチやペプシコーラ、ミルクシェイクなどが加わることもあったが、エルヴィス・プレスリーの好きな食べものは、基本的には、ピーナツバター・サンドイッチとポーク・グレイヴィだった。
アメリカの一九五〇年代なかばから後半にかけて、エルヴィス・プレスリーをとりあげたファン雑誌の多くが、食べものに関するエルヴィス・プレ…
底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)
前の作品へ
次の作品へ