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書評

ぬいぐるみの熊は、僕のすべてを知っている

 ロンドンのサザビーで美術品の競売がおこなわれるとき、定期的にテディー・ベアーがいくつも売りに出されるということを、友人から僕は聞いた。一九一四年以前につくられたテディー・ベアーは、競売で入札するような業界では、すでにアンティークと呼ばれているそうだ。一九一四年以前とは、つまり第一次世界大戦以前、ということだ。
 一九〇六年頃に、テディー・ベアーのまず最初の大流行があった。第一次世界大戦から第二次世界大戦までのあいだに製作されて世のなかに出ていったテディー・ベアーは、業界の呼び名では、ヴェテランというのだそうだ。

底本:『本についての、僕の本』新潮社 一九八八年

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