VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説

雨に唄えば

カメラとビー玉

何も起こらない小説、と言ってみたくなる。
それはもちろん嘘で、ここには女と男が登場し、
女は仕事をこなし、男は女を送りおどける役目を果たしている。
それは非合法に抵触しているものの、そのことによる翳りも屈託も、そして危機もない。
すべては淡々と過ぎて行き、彼女と彼はどちらかといえば陽気である。
世間にはカメラやビー玉で妙な遊びをする男もいるが、それも驚くようなことではまったくない。
むしろ関心は雨が降るか降らないか、そちらのほうだ。
降りだした雨には、…

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