VOYAGER

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小説

彼の右隣りが、私

彼は知らずに後ろに。彼女は知ってて右隣に。

再会は、一つのドラマである。
偶然の再開は、そうそう起こるものではなく、しかし限りなく無に近い可能性とも違う。
奇跡、というほど圧倒的ではないがゆえにゆるやかな幸福感が漂う。
同じ時刻に、同じ道を走ること。
前を走る自動車がなぜか気になる、という現在は、
彼の、あるいは彼女と彼の過去が作動した結果の祝福された現在かもしれない。
10年の時を経て再び彼女は、彼の右隣をキャッチする。

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