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小説

港町しぐれた

ふられる時には、共に移動してみる、というやり方もある。

女と男がいて、別れが生じようとしている。
よくある話だ。別れは時に、唐突に訪れる。
別れ話、とは言うけれど、どちらかが決めてしまったら
決意はなかなか覆らない。
2人にとっての最後の時間を、日常ではなく、
列車や、ホテルや、自動車の中で過ごすことで
時間ばかりでなく、互いの中を流れていく何かがあるだろう。
もう二度と会わないのだとしても、
その「流れ」を2人はその時、確かに共有している。

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