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小説

森から出てこなかった男

生命とはなにか、自分とはなにか。人はその答えを、大自然を学びつくすことから得ようと試みる。

片岡義男の作品の中にはしばしば、北米大陸の自然を相手に文明を最小限に切り詰め、自給自足の生活をおくる人々が現れる。
これもまさしくその系譜につらなる短編だ。
ティーンエージャーの頃から、シエラ・ネヴァダの大自然こそ自分が身を置くべき場所だという天啓を得て、14年の歳月を過ごし、その後、アラスカに移動して志を同じくする仲間たちと山荘を作った男がこの小説の主人公だ。そこにはおそらく、ヘンリー・デヴィッド・ソローや、シエラ・ネヴァダの大自然を守ることに一生をかけたジョン・ミューアの魂がこだましてい

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