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小説

青春の荒野ってやつ

百歩譲ってこれが青春だとしても、断じて暴走ではない。

「俺あ、必死だよ」。主人公・美治のその言葉に偽りはない。大人から見れば単なる暴走族にしか見えない集団のリーダーにあたる男には、一定の行動基準がある。世間におもねることなく、四輪で、二輪で走る行為を楽しむこと。同時に、アウトローを気取らないこと。実際彼には、職場があり、家族がいて、フィアンセがいる。そして自らの生命の危機に隣接した時でさえ、社会の側が走る行為を封殺しようとする、その糸口を見事に絶つ。自ら「青春」などと呼ぶことはない。ただそれを、他に何と名付けたらいいのか、わからないだけなのだ。

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