小説『死なずにいてくれ』（双葉社『推理ストーリー』1968年７月号掲載）を本日公開しました。片岡義男が本格的に小説家デビューする以前に書かれた、単行本・文庫本未収録の作品です。

サラリーマンの矢崎は、ある日の会社帰りに私鉄の駅前で妻の恵子に呼び止められる。これから夕方の買い物をして帰るという恵子に、矢崎はタバコを頼んで帰宅する。しかし何時になっても恵子は帰らず、矢崎は軽く腹を立てる。三日経っても恵子は戻らず、矢崎は警察に捜索願いを出す。そしてアパートに残された彼女の所持品を調べながら、矢崎は恵子と結びつかないものが多いことに気がつく。３ヶ月後、失踪した妻の実家のある秋田からの帰り、恵子がかつて勤めていた町に立ち寄った矢崎は、そこで未解決の殺人事件があったことを知る。その事件が矢崎にある想像を促し、物語は心理サスペンスの様相を呈していく。

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