毎週火曜日に、これまで片岡義男.comでは未公開だった小説作品を公開していきます。

（底本：『ミッキーは谷中で六時三十分』2015年、講談社）

結婚相手というのは他者です。当たり前ですが、この「例外のほうが好き」では、その他者と結婚するという不思議が強調されています。そして、小説を書く際の資料集めが、どれだけ膨大で根気のいる作業であるかについても、克明に描かれています。どちらも、あまり物語には登場しにくいネタで、つまり、それ自体も「例外」であるという仕掛けなのでしょう。そして、それらが、これから結婚する若い二人のそれぞれが、どんなふうに例外なのかを表しています。ほとんど男二人の会話と、女二人の会話だけで展開する物語の中に、よくもまあ、これだけ詰め込んだものだと思います。そして私は、エレクトロラックスのトースターが欲しくなったりしたのでした。

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