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片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説『ミッキーは谷中で六時三十分』公開開始!

今週から毎週火曜日に、これまで片岡義男.comでは未公開だった小説作品を公開していきます。本日公開の『ミッキーは谷中で六時三十分』は、表題作が収められた短編集からの1本です。「ミッキー」「谷中」「六時三十分」とまるで三題噺のようなタイトル、気になりますね。表紙デザインは南アヤコさん。すでに読まれた方も、まだこれからの方もどうぞお楽しみください。

(底本:『ミッキーは谷中で六時三十分』2015年、講談社)

この「ミッキーは谷中で六時三十分」のような、片岡義男の東京ローカル小説群は、いわゆるアーバン小説とは違う、生活空間としての東京の町の表情が、時代背景と共に見事にスケッチされています。だから、私のような地方出身者が読むと、いやおうなしに地元の風景が思い起こされるのです。今回、私は高校の頃には無くなってしまった、近所のタクシー会社の二階にあったビリヤード場の風景に、ミッキーの腕時計をした、この物語のヒロインを重ね合わせてしまいました。物語のリアルは、そうやって想像力をかき立ててくれるもので、知っている現実に似ているかどうかでは無いのだ、という当たり前の事が、まるでファンタジーのように美しい、この物語のラストシーンで証明されているようで、これこそがハッピーエンドなのだと思う夏の終わりです。

こちらからお読みいただけます。

2020年12月22日 00:00 | 電子化計画

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