『こちらは雪だと彼女に伝えてくれ』目次
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『こちらは雪だと彼女に伝えてくれ』は1984年5月に集英社コバルトシリーズとして集英社文庫から刊行されました。収録作品はすべて「季刊コバルト」に掲載されたものです。
名前を構成する漢字が1文字だけ違っていて、年齢は同じ。
そして何より、2人ともとびきりすばらしい女性、
というのが、1人の男を挟んであちらとこちらにいる。
さて男はどうするのか。
片岡義男の小説においては、こうした状況はさして困ったことではない。
むしろ、晴れやかなことである場合が多い。
ラストの成り行きはいささかご愛嬌だろう。
三角関係が美味なサンドイッチになるのもいいが、
雪の日本と南の島に分かれるのも悪くない。
(『こちらは雪だと彼女に伝えてくれ』)
この短篇のすばらしさは、タイトルに集約されている。
「もう一つのラヴ・ソング」ではなく「もうひとつラヴ・ソング」。
「の」を抜くことによって、一つのラヴ・ソングのことだけでなく、
人が生きているこの世界すべてが小説の対象になった。
思いがけない形で遺されたラヴ・ソングを思いがけない人物が歌うことになり、
それを家族が聴いている。読者が聴いている。
この世界が聴いている。
(『もうひとつラヴ・ソング』)
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