VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

玩具として買うには面白い

 ハーシーの板チョコ、というものがいまでもある。あるどころではない、それこそ日本全国津々浦々のスーパーその他で、常に大量に販売されている。日本にすっかり根を下ろした習慣のようなものになった、と僕は感じる。戦後からの日本の歴史を、いまのスーパーの棚にならぶハーシーの板チョコに見ることは、じつにたやすく可能なのだ。
 もっともスタンダードなハーシーの板チョコは、子供の頃の僕が身辺にいつも見ていたものと、基本的なコンセプトはまったくおなじである、という意味において大差はない。ほとんどおなじだと言っていい。こういうものがアメリカ…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

このエントリーをはてなブックマークに追加