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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

創意と工夫との結果による、まったく新しいもの

 クエイカー・オーツの、あの帽子をかむった血色のいいおじさんが何人もずらっとそろって、オートミールの棚からぼくを見ている。このおじさんも昔はいかにも昔ふうだったのに、いまではスマートにデザインされたロゴのようになっている。パンケーキ・ミックスの箱の片隅には、ジマイマおばさんがいまでも白い歯を見せて陽気に黒人的に笑っている。しかし、クエイカー・オーツの会社が正式にオーソライズしたジマイマおばさんは、もういない。
 ホウレン草のおひたしを冷凍にしたような食品のビニール袋には、ジョリー・グリーン・ジャイアントが元気そうにしてい…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『自分を語るアメリカ』太田出版 1995年

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