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評論・エッセイ

2月2日 メイン・テーマ

 1983年の夏の終りに、ぼくは軽井沢で角川春樹氏と久しぶりに会った。ラジオ番組のための楽しい談話の時間を、3時間ちかく持った。来年、つまり1984年の夏、森田芳光監督、薬師丸ひろ子主演で映画を一本公開したいと思っているからその映画の原作小説をカドカワノべルズの一冊として書いてほしい、という依頼をこのときぼくは角川氏から受けた。
 その日のタ方、東京へ帰る電車のなかで、ぼくはおよその考えをまとめた。明くる年には20歳になる薬師丸ひろ子さんは、20歳の女性という自分自身を演じるほかないだろうと、ぼくには思えた。だからぼくは…

底本:『すでに遥か彼方かなた』角川文庫 一九八五年

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