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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ブックストアで待ちあわせ

 海にむけてくだっていくゆるやかな坂道が、3ブロックにわたってつづいていた。ブックストアは、まんなかのブロックの、さらにちょうどまんなかにあった。
 町のいちばん高いところから海岸へ降りていくこの坂道は、町のメイン・ストリートだった。幅の広い、気持のいい道路で、両側には歩道があり、歩道は並木になっていた。歩道の幅も広く、いつ散歩してもこのメイン・ストリートは気分が良かった。
 ブックストアには、さりげないけれどもたいへん洒落た名前がついていた。だが、ぼくたちは、ただ単にブックストアと、呼んでいた。スティショ…

底本:『ブックストアで待ちあわせ』新潮文庫 1987年

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