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評論・エッセイ

八月二日、軽井沢、快晴

この作品は、『日本語の外へ』「第1部 アメリカ──湾岸戦争を観察した」
に収録されたものです。
 その年の夏、七月の終わり、僕は軽井沢にいた。仕事は例によって多忙だった。そうではなくても、軽井沢に本来なら僕はなんの用もない。そのときそこにいたのは、美術館の展覧会を見たかったからだ。アンドリュー・ワイエスがヘルガを描いた絵が、下絵も含めて数多く公開される展覧会だった。これはぜひ見たかった。
 ホテルに泊まって仕事をして過ごし、八月の二日、夏らしい美しく晴れた暑い日、僕は午前中にその美術館へ出かけ…

底本:『日本語の外へ』角川文庫 2003年
『日本語の外へ』筑摩書房 1997年

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