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結束してこそ我らは建つ。一九四二

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 ことの善し悪しはまったく別な問題であるとして、アメリカはほとんど常に新しいことを始めている。いつだって新しいことをめざし、新しいことをいくつも同じに始めている。自由と民主が資本主義と不可分にからみ合ったものを、アメリカは自分たちの理念としている。資本主義は利潤を求めて突進を続ける運命にある。その突進力によって、アメリカの自由と民主は強力に推進されている。だからとにかく立ち上がって前進するほかない。未開の地平を切り開くなら、地球であれ宇宙であれそれは自らのものとなろう、という天の声だってあることだし。

 新たな価値を前方のどこかに創出しようとする人は、可能なかぎり自由であるのがいちばんいい。前方における新たな価値の創出を引き受ける人は、楽天的でないとどうにもならない。そして自由は、楽天的である人の身の上において、もっとも効果的に作用する。これが世界で最高度に洗練された資本主義の上に乗っているのだから、向かうところ敵はない、と言うよりも敵などあるのがおかしい、あってはいけない。もしあるなら、徹底的に戦う。

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 もっとも力強い武器は、科学的な合理にもとづく、用意周到な長距離の視線と立体的な戦略だ。人にたとえるなら、青年期の入り口にさしかかったばかりの若いアメリカが、ヨーロッパと太平洋における第二次世界大戦を全面的に引き受けたとき、人類史のなかに特筆されるべきスケールの新しいことを、アメリカは始めたのだった。世界秩序を根本的に再編成する試みなのだから、戦争ほど新しい営みはほかにない。

 次にあるのは、一九四二年七月六日号の雑誌『ライフ』の表紙だ。建国記念日から二日後の日付だ。この七か月前には真珠湾を体験した。店頭市販価格一部十セント、定期購読料四ドル五十セント。「結束してこそ我らは建つ」というアメリカのモットーが、左下に印刷してある。勝算のありすぎるほどにあった戦争を彼方に見すえながら、陽ざしに輝き風にはためく星条旗。結束の純度がもっとも高かったアメリカがここにある。

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出典:『Free&Easy』2002年2月


2018年1月10日 00:00