VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

僕がデソートを停めた場所

 デソートという名の自動車が、かつてアメリカにあった。ここにあるのはそのデソートのおそらくは一九三九年あるいは一九四十年の雑誌に掲載された広告の、アートワークの部分だけだ。

 どれもみな絵だから、誇張も美化も思いのままだ。しかし、この頃のアメリカにこのような自動車が存在していた事実は、変えようがない。こういうかたちをした、このとおりの雰囲気を持ったデソートの乗用車は、この時代のアメリカのごく一般的な現実だった。
 その現実を雑誌のページで広告するために、絵が用いられた。広告ページにカラー写真…

このエントリーをはてなブックマークに追加