アイキャッチ画像

日本のMの字 その2

縦書きで読む

LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

170720_日本のMの字その2_画像 ここにもあのMの字がある、と思って撮ったのではない。グラフィックな面白さに惹かれて撮った。ただそれだけのことだ。しかしその二点をこうして左右のページに配置したのち、あらためて観察すると、東京の景観のなかに点在するディテールとしてのこのMの字が持っている力を、認識しなおすことにもなるようだ。

 この黄色いMの字は、少なくともその周辺に対しては、求心的に作用しているではないか。周囲の雑多な様子を統合し、自分に向けて求心させる力を、このMの字は持っている。どちらも夜の光景だが、それはたまたまのことだ。夜だからMの字はその内部に光源を持ち、その光によってかなり鮮やかに輝いている。どこかもっさりしたところのある様子は、良き時代のアメリカを反映しているからだろう。「日本のMの字 その3」があるかどうか、いまはなんとも言えない。写真機を持って東京を歩いてみないと、答えは出ない。夜のなかで自らの光源を持って輝いたり光ったりするもの。それは基本的に言って周辺に対して求心的に作用する。Mの字は夜に撮るのがいいかもしれない。

(底本:『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』ちくま文庫 二〇〇三年)

タグで読む04▼|片岡義男の東京を歩く

Tokyo_タグで読む_バナー画像

関連エッセイ


2003年 『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』 アメリカ 写真 文字 東京 看板
2017年7月20日 00:00
サポータ募集中