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江戸を歩く

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170718_江戸を歩く_画像2

 七〇ページ*〔写真・右〕そしてその左隣の七一ページ〔左〕にあるふたつの光景は、おたがいによく似ている。よく似ていると言うよりも、同一であると言ったほうが正確だろう。ごくわずかな空間をあいだにはさんで、密接して建つ二軒の建物の、おたがいにとっての緩衝地帯のような、そのわずかな空間。これを僕は撮っている。

 おなじような光景を撮った写真が、僕のファイルのなかにたくさんある。写真機を持っていないときにはさほど気にならないが、写真機を持って歩いているときには、このような光景を僕は頻繁に写真に撮る。もう充分に撮ったではないかと思いつつ、おなじ質の光景をなおも撮影するのは妙な気分だ。

 この光景に僕は江戸を見ているのかもしれない。江戸で敷地が広いのは寺と大名屋敷だけで、町人は狭いところに密接して建てた家に密集して住むように統制された。それは伝統のようになっていまの東京に生きている。現在の東京を歩きながら江戸をも歩く試みは、いまでもなお充分に成立するようだ。

(底本:『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』ちくま文庫 二〇〇三年 *書籍収録時のページ数を原文のまま掲載しています)

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2017年7月18日 00:00