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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

一冊のペーパーバックは、日常ではない時間の象徴だ

 英語による僕の読書はペーパーバックに限られていると言っていい。不特定多数を相手にしたマス・マーケット用のいわゆるペーパーバックと、読者が多数であるにこしたことはないけれど不特定ではあり得ないクオリティ・ペーパーバックの、両方にまたがっている。比率はちょうど半々くらいだろうか。ペーパーバックだけに限定しているわけではないけれど、一刻も早くに読まなければならないといった性質の読書はしていないから、結果としてペーパーバックだけで充分だ。
 読む楽しみのまえに、買う楽しみがある。ブックストアの棚にならんでいる新しい本のなかから…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 1995年

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