『ロンサム・カウボーイ』目次
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『ロンサム・カウボーイ』は1975年5月に晶文社から単行本初版が刊行され、1979年に角川書店から文庫化。2015年1月には単行本がオリジナル・デザインのまま復刊されました。雑誌『ワンダーランド』の創刊号から後継誌である『宝島』まで14回にわたって連載された短編小説を収録。片岡義男名義で刊行された最初の短編作品集です。
「この連作を書いているあいだ、かれはよく「描写」という言葉を口にした。それは、私たちが日本の近代文学の流れのなかでつかう「描写」という言葉とは、ちょっとちがうことを意味しているようだった。(中略)どこかの山に春がくるとかさ、とかれはいう、ピストルの弾丸が発射されて目標にとどくまでとか、それを描写するだけでひとつの小説ができると思うんだよ。
かれのいう『描写』には、かれが実際にいくつかの小説でこころみているような、沖縄に上陸した梅雨が北上するプロセスを一日きざみで追ったり、オートバイ芸人のハーレー・ダヴィッドスンが空中にとびだし、着地するまでの数秒間を十ページもかけて記述したりといったこころみが、大量にふくまれている。走る車のウインド越しに、トラック・ドライヴァーたちが「ちょっぴりちがった光」のなかで見ている世界がある。かれらが見ている世界を自分も見たい。そのために、その世界をウインド・グラスごと、こまかく、正確に記述していく。たっぷりすぎる含意はぬき。それがかれの『描写』である」
(津野海太郎著『小さなメディアの必要』所収「雑誌のロンサム・カウボーイ」より)
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