VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

吉永小百合の映画 『俺は死なないぜ』

悪人の手下たちによって和田浩治が自動車で拉致されていく途中、悪人の1人が、「もっと速く走れねえのか」と、運転している男に言う。「霧が濃くて先が見えねえんだ。ちきしょう、この霧の奴め」と、運転席の男は答える。「じれってえな」と、さきほどの男が言う。このやりとりに僕は笑った。楽しい笑いだった。こういう台詞だけを待ちかまえて笑う、という楽しみかたは豊かに成立する。

底本:『吉永小百合の映画』東京書籍 二〇〇四年

このエントリーをはてなブックマークに追加