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評論・エッセイ

吉永小百合の映画 『ガラスの中の少女』

「純愛ものの原点となった作品」という市販用のヴィデオの言葉を手がかりにして、この映画を今の僕が解釈することは、充分に可能だ。日本映画における純愛ものとは、若い人たちが社会性を獲得できず、あるいは拒否し、汚れた大人たちの社会に巻きこまれる前に、社会から死によって退く様子を主題にした作品群を意味するようだ。『ガラスの中の少女』は、確かに、純愛ものの典型だ。

底本:『吉永小百合の映画』東京書籍 二〇〇四年

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