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評論・エッセイ

歌謡曲が聴こえる さらにいっそう美空ひばりであることを

『港町十三番地』『蘇州夜曲』

一九八七年十月、録音スタジオにて

 一九八九年に美空ひばりがこの世を去った後、彼女を題材にして何冊もの本が出版された。そのなかの一冊に、『美空ひばり 〝歌う女王〟のすべて』という本があった。文春文庫から一九九〇年の十二月に刊行されたものだ。編集の方針はさだかではなく、その結果と言っていいかと思うが、内容は希薄だ。しかし収録されている写真のなかの一点を、僕はたいそう気に入った。拡大コピーしたものを、いま僕は見ている。
 撮影されたのは一九八七年…

底本:『歌謡曲が聴こえる』新潮新書 二〇一四年

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