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評論・エッセイ

教養としての世界地図

二〇〇四年二月八日(*日付については、「まえがき」参照)

 冷戦はアメリカが長期公演した大芝居だったと理解すると、それからあとのことがわかりやすくなる。旧ソ連はこの芝居に相手役として乗せられてしまった。それがソ連の犯したそもそもの失敗だった。これほどの失敗を犯したからには、ソ連は国家として無能だったと言っていい。囲い込まれたソ連が持ちこたえられなくなったあとも、アメリカは芝居を引き延ばした。そして冷戦は終わり、資本主義と自由が勝利したと言われたが、それを真に受ける人たちはさすがに多くはなかった。ソ連の駄目さか…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

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