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片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説

ノースショアのいくつかの掌編

トゥー・ブロックス・ダウン

 田舎町を照りつける陽ざしのなかを、メイン・ストリートが抜けていた。日系の雑貨店の壁に寄せた木製のベンチにひとりですわっていた東洋系の男性は、何年かけてどこでなにをして来た結果としていまここにいるのか、いっさい不詳の日焼けした小柄な人だった。着ていた白いTシャツの胸には、毛筆による書体で書いた横綱というふた文字が、かすかに読めた。
 その雑貨店の前で歩道に寄せてGTOを停めた僕を、ベンチにすわっているその男は観察した。ガラスを降ろしてある窓から彼に笑顔を向けて僕は、
『Coyote』No.52 二〇一四年六月

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