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評論・エッセイ

ベッドタイム・ストーリーズを聴いた子供たちは、安心して眠った

 いまは夜中の十一時三十分だ。もう寝る時間だ。ベッドタイムだ。
 と、ハミルトンのハック・ウォッチのゼンマイを巻きながら思ったとたんに、ひらめいた。テーマが、ひらめいた。ベッドタイム・ストーリーズ、について書こう。
 書くにあたって、ぼくは一冊の本を持って来た。そしてあっちのページこちらのページと気のむくままに開いては絵をながめ、文章をひろい読みして、一時間ほどすごした。
 とても、快適だった。楽しかった。ある種の安心感のようなものが、軽くておだやかな空気のように、ぼくをとりかこみ、ぼくをもてなして…

『POPEYE』一九八一年八月二十五日号所収(掲載時のタイトル:『片岡義男のアメリカノロジー 80 パジャマで読むベッドタイム・ストーリーの1時間』)
底本:片岡義男エッセイ・コレクション『自分を語るアメリカ』太田出版 一九九五年

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