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評論・エッセイ

移民の子の旅 3 ラッキー・カム・ハワイ!

 明治元年、新暦で六月二十日にホノルルに上陸した一五三名の日本人たちは、どんな人々だったのだろうか。
 最年少は石村市五郎という十三歳の少年だった。この人は、ハワイに渡ってのち、酒と賭博にふけり「蝮の市」とあだ名された。だが、美山貫一という牧師に教化されて熱心なクリスチャンとなり、明治二十六年に料理学校を経営して成功をおさめた。あとで日本へ帰り、大正七年の春、東京で没している。
 その次に若かったのが、十五歳の善兵衛。最年長は四十六歳の周蔵という男。いちばん多いのは二十代で、一〇二名だった。
 女性…

『ミステリマガジン』一九七五年十月号

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